第99回全国高校野球選手権大会「一回戦」(高知新聞)


明徳執念 12回勝ち越し

市川好救援 7回無失点

明徳義塾 6 - 3 日大山形
 目が覚めるような快投だった。明徳の2番手、市川が鮮烈な甲子園デビューを果たした。同点の六回からマウンドへ。先発北本から5回で8安打した日大山形打線が相手でも「緊張はまったくなかった」と相変わらずのクールぶりだった。試合後に市川を囲んだ全国の記者が、驚きながら「もともと気が強いの?」と聞いても「はい」の一言。試合中も試合後も、市川らしさを発揮した。
  馬淵監督が「シュアに振ってきた。いいチームだった」と評する日大山形を最速141`の直球でねじ伏せた。延長に突入した十回裏。相手の先頭、4番舟生は山形大会決勝で満塁本塁打を放ったスラッガーだ。一発が出れば即サヨナラの場面…だろうが関係ない。カウント2-2から、最後は膝元をずばっとえぐる137`。難敵を空振り三振に切って取った。
  7回を80球。延長入り後は常にサヨナラの可能性を背負い、肉体も、精神も、当然、疲れているはずだ。捕手の筒井も「直球はきてました。延長に入ってからはちょっと抜けるようになったんですが…」。しかし、当の本人は「まだまだ投げられました」。にこりともせず、言い切るところが、これまた市川らしい。
  「今まででも 、最高のピッチングだった」と市川。今春センバツで敗れた早実戦は、延長戦にもつれたものの、マウンドに上がることはなかった。あれから約5カ月。ようやく立った甲子園のマウンドで、力を全国に見せつけた。
  囲み取材の終了間際、一人になった市川にあらためて甲子園初登板の感想を尋ねた。「思い切り投げました。楽しかったです」。ようやくこぼれた笑みは、充実感に満ちていた。 (井上真一)


6回から登板し7イニングを無失点に抑え、勝利を呼び込んだ明徳・市川 (甲子園=飯野浩和撮影)

守備力 激戦の勝敗分ける

 3−3の十回裏、明徳の守備。2死二、三塁の一打サヨナラの場面で、打球がセンター方向に飛んだ。二塁ベース寄りの嫌なコース。二塁手近本が、この当たりをほぼ正面に回り込んでつかみ、一塁へ。スリーアウトを取って、次イニングへつないだ。
  延長十二回。しびれる激戦の勝敗を分けたのは守備力だ。明徳は近本のほかにも、左翼谷合がフェンスに当たりながら邪飛を捕り、すぐ後には、一塁手久後が頭上を襲ったライナーを思い切り伸び上がってキャッチ。八回には市川が送りバントを素早く処理して一走を二塁封殺した。左前打をファンブルした谷合が、あろうことかボールを蹴っ飛ばしても、遊撃今井が素早くカバーに入って二塁を狙った打者を刺すなど、幾多のピンチを、好守でくぐり抜けた。
  日大山形も、送りバントを併殺にするなどよく守った。が、最終的に、失策が決勝点につながった。試合前、日大山形が守備でも自分たちと渡り合う気でいると聞いた明徳ナインは、ちょっと驚いた様子で「ビデオ見ましたけど、それはない」ときっぱり。それが決しておごりではないことを自分たちで証明した。
  十二回裏。2死一、二塁。伝令としてマウンドへ向かった北本は「27個目のアウトが大事やぞ」という馬淵監督の言葉を内野陣に伝えた。それは九回2死までリードしながら北本の失策もあって追いつかれ、延長で敗れた早実戦の苦い経験があったからだ。
  その言葉の通り、今井がショートフライをしっかりつかんでゲームセット。センバツで果たせなかった甲子園1勝をその手にした。
  守り勝つ。それが明徳の野球だ。「明徳は守備では絶対に、全国のどのチームにも負けません」。近本の力強い言葉は、頼もしい限りだ。 (井上真一)


12回裏2死一、二塁のピンチを迎えた明徳。
伝令の北本@に笑顔を見せる市川(中央)ら
(甲子園=飯野浩和撮影)


よくしのいだ

 明徳義塾・馬淵史郎監督 辛抱の連続だった。ムードが悪かったので、市川に代えたが、結果的に良かった。野手陣も、よくしのいでくれた。競って勝ったのは、チームのためになる。次はいい試合をしたい。

うちの野球できた

 日大山形・荒木準也監督 投手は持ち味を出したし、うちの野球はできた。好機をつくりながら、あと一本が出なかった。運が勝敗を分けた。市川君は球はスピードと切れがあり、良い打球が出なかった。
  明徳義塾・山口主将(伝令役)「ピンチのときは、落ち着けと声をかけた。134人の部員全員で戦っている」
  明徳義塾・北本投手(先発で5回3失点)「自分の投球ができなくて苦しかった。次はもっとチームを引っ張りたい」
  明徳義塾・西浦右翼手(プロ注目の打者は6打数2安打)「徐々に調子は上がっているが、今日は全然駄目だった。試合を決める一打を打たないといけない」
  日大山形・舟生主将(4番で無安打)「自分が打てなかったんで負けた。相手は取れるアウトをしっかり取っていた」
  日大山形・斉藤史二塁手(2年生3番打者は2安打3打点)「後半、試合が重くなってから打てなかった。来年もう一回、ここに戻ってきます」

 

高知新聞 平成29年8月10日 日刊

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